成田惣菜研究所ホームページ開設20周年

book月刊店舗11月号より
平成12年10月20日発行
発行所 ㈱テンポ
1ProFile
1951年生まれ。立教大学卒。大学卒業後に訪れたアメリカでセブン-イレブンを見て衝撃を受ける。
帰国後、実家の鮮魚店を食品スーパーへ業態転換する。20坪で3億円の年商を上げるが、大手スーパーの出店に伴い、売り上げが落ち込む。
そこで惣菜の研究に力を入れ、自店を立て直すとともに、スーパーマーケットなど800件を指導する惣菜コンサルタントとして活躍する。

 

THE OPENING INTERVIEW
プロフェッショナルに聞く!

個人経営の店は大手スーパーと共存できる
スーパーが大型化するほど、
手づくりの惣菜店に対するニーズは高まるだろう
成田惣菜研究所 成 田 廣 文

 

Q.鮮魚店から食品スーパー、惣菜店と業態を変えて時流に乗ったわけですが、なぜ「惣菜」に注目したのですか?

成田 うちのような小さな店が、価格を安くする以外の方法で物を売るにはどうすればいいか?ということを毎日考えてきました。そして、自営業者の生き残り策として、大手にできないものは何かと考えた結果、惣菜に行き着いたのです。
惣菜は大量生産に向いていません。たとえば大手の場合、安全性に優先されますから野菜なども洗いすぎるほど洗ってしまい、野菜本来の味が抜けてしまいます。また、添加物も多くなり、手づくりのものに比べれば味の違いは明らかです。
それから、女性の就業率の上昇や高齢化、単身世帯の増加など、手軽に食べられる惣菜へのニーズが今後も高まるだろうという、時代の流れに対する読みもありました。

Q.経営者として、惣菜店の魅力は何ですか?

成田 在庫を抱える必要がなく、資金力がいらないという点と粗利益率が6割と高い点でしょうか。自分が客になった場合どう感じるか?というふうに考えられる身近なものであることも、自営業者にとっては重要なポイントだと思います。

Q.惣菜店は大手スーパーの隣でもやっていけるといわれますが、本当に大型店と共存できるのでしょうか?

成田 惣菜店は地域密着型です。お客様のニーズにきめ細かく対応していけば、息の長い商売ができます。いわゆる“デパチカ”と呼ばれるデパートの地下街とは違い、遠くからわざわざやってくる人でなはく、近くに住む家族全員が顧客です。
私の店は、惣菜やサラダバイキングのほかに焼きたてパンを提供するベーカリーや刺身コーナーなどもあり、「すぐに食べられるもの」をキーワードにした品揃えをしています。
いわば手づくりの惣菜を中心にしたコンビニエンスストアといった店づくりなので、同じ人でも1日に何回も来店していただけるんです。つまり、購入後、家に持ち帰ってすぐに消費される傾向が強い商品、「惣菜」が充実した店は、客の来店頻度がものすごく高いということなのです。
また、大抵の人は、誰が作ったかわからない惣菜が大量に並んでいる大手スーパーよりも、その店でひと手間かけたものを味わいたいと思うはずです。丸くむかれた里芋はいかにも機械にかけられた感じで味気ないでしょう。やはり、包丁の跡が残っていた方が「芋の煮ころがし」という雰囲気があります。一人で食べることが多くなってきた分、人間的な温かみのようなものが求められているのです。
それに高齢者などは、大規模スーパーが苦手だといいますよね。品種が多いために欲しい物が見つけにくいとか、店内が広くて歩くのが大変だとか、高齢者に限らず、ちょっとした買い物だったらレジに並ばすに済む方がいいということもあります。だから、スーパーが大型化するほど、逆にこういった手づくり惣菜を中心にした個人店に対するニーズも高まってくると思います。

Q.成田さんの惣菜作りのポイントはどこですか?

成田 いま売っている商品を少しでもおいしくしようということが基本になっています。手づくりプリンを作ったり、ビーフシチューを煮込んだり、そして、それを店の中で目立つようにディスプレイするといったことです。商品は、ほとんど店内で調理した出来立てです。
2

 

ナリタヤの店内:コンビニのように食品の種類は豊富だが、並んでいるのは手づくりの惣菜

 

 

 

 

Q.新しいアイディアはどういったところから生まれてくるのですか?

成田 常においしいものを求めて食べるということが非常に大事です。自分の舌を鍛えないとおいしいものは作れません。毎日カップラーメンやファウストフードを食べていて、ヘルシーな惣菜を考え出すことはできないのです。食に対する好奇心も人一倍旺盛ですね。料理でも食材でも、おいしいものがあると聞けば忙しい仕事の合間を縫って出掛けたり、取り寄せたりしてかなり投資しています。
また、居酒屋のメニューは惣菜に近いということで、居酒屋へは頻繁にリサーチに出掛けています。メニューの中から新しい惣菜のヒントになるものを拾うこともありますし、ユニフォームやメニューの演出方法、季節感の出し方など参考にさせてもらいます。若い人たちがどんなメニューを注文しているか、人気があるかといったこともトレンドをつかむ上でも勉強になります。

Q.最近の惣菜の傾向はどういったことですか?

成田 (財)外食産業総合調査センターが20歳以上の首都圏居住者に行ったアンケート調査によると、買ってみたい中食(すぐに食べられる市販の弁当や惣菜)の7大キーワードは、①栄養のバランス、②一流シェフや有名店の味、③オープンキッチン、④日替り、⑤その場で調理、⑥店内で食事、⑦低カロリーということです。つまり、栄養のバランスを考えた健康志向のものや、オープンキッチンで安心感のあること。また、一流のブランド志向が昼食の世界にも表れているということでしょう。
実際に野菜をメーンにした惣菜に対するニーズが高くなってきています。最近のヒット作は「野菜だけの南蛮漬け」ですから、いままでのイメージにこだわらず、野菜だけでもおいしい、満足感のある惣菜を作ろうと考えています。
その一方で、多少高くついても無駄を出したくないといった考えの人が多くなってきています。たとえば、夏場はご飯を炊いて余るとすぐに悪くなってしまいますから、ご飯は炊かずに必要な分だけ買っている。だから、うちの店でも白いご飯は、1日中切らさないように並べています。しかもこまめに炊いて、なるべく炊きたてを提供するように気を配っています。

Q.成田さんの店はどんな特徴がありますか?

成田 立地的な特徴としては「おばあちゃんの原宿」として有名な巣鴨の商店街にあり、毎月4の付く日が縁日でにぎわいます。4の日には18坪の当店に1,500人も入ることもあります。いろんな販促企画も充実していて、夏場には1,000円以上を超える買い物をされたお客様に、ビールの小型缶をサービスしたら800人が集まったこともありました。

Q.惣菜コンサルタントとして月に20日間も飛び歩いているということですが、どんなシステムになっているのですか?

成田 新規出店する場合は、最初から面倒をみさせていただきますが、FC加盟契約ではないので、独自の経営で店名も自由。紹介するメーカー・業者はあくまでも参考程度。メニューについてはカテゴリーごとに基本のアイテムがしっかり品揃えされていれば、オリジナルメニューの販売は歓迎です。どんどんオリジナリティーを出していただきたいということですね。
出店までの大まかな流れを説明しますと、まず契約前に当社にて面談、直営店を見ていただきます。おすすめの惣菜店のご紹介もいたします。契約後は立地選定のお手伝いから施工業者との打ち合わせ、タイムスケジュール作成。必要な予算の見積もりから収支予測などのシュミレーションまでやります。そして、求人、品揃えアイテム、販売方法などのアドバイスを経て直営店にて実習(3日~30日が目安)になります。開店日の前後7日間(実技指導含む)は現地での指導になります。
開店後の1年間は、実際に店を訪れて「季節に合わせた旬の素材を取り入れたメニューを増やそう」とか「とんかつは冷凍ではなく、肉に衣をつけてすぐに揚げる」とか「季節感を出すには店内のポップをどうしたらいいか」といったことを指導します。ホームページでも情報発信していますが、毎月の商品案内・販促などの情報を提供するほか、電話・ファックス・電子メールなどでも随時フォローします。

また、年間7回は会場を借りてセミナーを開き、調理からディスプレイの工夫などを実際に取り組みながら説明していきます。2時間ばかりの間に20種類もの惣菜を調理し、盛り付けなどを説明しながら試食してもらうと、皆さん手際の良さと味の良さに驚きますね。
これは具体的でわかりやすいということで、とても人気があります。まだ店をはじめるところまで気持ちが固まっていない人でも、セミナーなら気軽に参加できるでしょう。
これとは別に個別指導にも対応しています。実際に店をやっている人には、レシピなどの情報を提供する会員制度もあり、参考にしている店も多いです。
4

惣菜セミナー:ホワイトボードの裏で実際に調理をしている

 

 

 

 

Q.最近、惣菜店をはじめたいと相談に来る人にはどんな傾向がありますか?

成田 コンビニエンスストアをはじめとするチェーン店から独立して、自分で商売をやりたいという業種転換組が目立ちます。私の考える惣菜は、立地は繁華街でなく、むしろ住宅街に隣接したニ等地が適していて、5~30坪の規模が基準。資金は坪80万円程度です。

Q.これから惣菜店をはじめる人に、調理経験は必要ないんですか?

成田 スチームコンベクションオーブンという1台で蒸し物から煮物、焼き物、炒め物などがこなせる調理器があり、パソコンのように調理設定を入力すれば、誰でも操作ができます。スチームコンベクションオーブンは、もともとソーセージを蒸す機械を改良したもので、温度設定が簡単にでき、それぞれの機器をそろえるより省スペースになるのが利点です。狭い厨房でも短時間で多種類の惣菜を作れますし、安全で衛生的、油も少量でできますからヘルシーなのです。こういう便利な機械を取り入れて、なおかつ手づくり感のある惣菜を提供するというシステムづくりに、4年近くかかりました。

予算の問題でスチームコンベクションオーブンを使わずにガスコンロで作りたいという場合も、多少は火加減が難しくなりますが、ノウハウはありますから大丈夫です。
成功するかどうかはオーナーの調理経験などではなく「自分がやるんだ」というやる気にかかっています。技術的なものは、後からいくらでもついてきます。
3

スチームコンベクションオーブンは、個人開業者におすすめの調理器

 

 

Q.今年になってインターネット上でホームページを立ち上げましたが、その反響はいかがですか?

成田 予想以上の反響でした。4ヶ月でアクセス数が4万回を超えています。惣菜に対する関心の高さを改めて意識しました。ネット上では6対4の割合で女性が多いのですが、惣菜に対する情報を求めているんですね。“そうざい”という呼び方一つとっても「惣菜」「総菜」「デリカテッセン」とあるわけで、その違いはなにか?といった質問などが寄せられてきます。食品添加物に対する質問などもあります。
いままでは、自分の店に来るお客様とのコミュニケーションがほぼ100%でした。そこにホームページによる新しい付き合いがはじまり、遠くに住んでいる人との一対一の意見交換も可能になりました。今後もホームページを使った交流を盛んにしていきたいですね。

https://narita-souzai.co.jp/wp-content/uploads/2015/05/1.jpghttps://narita-souzai.co.jp/wp-content/uploads/2015/05/1.jpgstaff-mメディア月刊店舗11月号より 平成12年10月20日発行 発行所 ㈱テンポ ProFile 1951年生まれ。立教大学卒。大学卒業後に訪れたアメリカでセブン-イレブンを見て衝撃を受ける。 帰国後、実家の鮮魚店を食品スーパーへ業態転換する。20坪で3億円の年商を上げるが、大手スーパーの出店に伴い、売り上げが落ち込む。 そこで惣菜の研究に力を入れ、自店を立て直すとともに、スーパーマーケットなど800件を指導する惣菜コンサルタントとして活躍する。   THE OPENING INTERVIEW プロフェッショナルに聞く! 個人経営の店は大手スーパーと共存できる スーパーが大型化するほど、 手づくりの惣菜店に対するニーズは高まるだろう 成田惣菜研究所 成 田 廣 文   Q.鮮魚店から食品スーパー、惣菜店と業態を変えて時流に乗ったわけですが、なぜ「惣菜」に注目したのですか? 成田 うちのような小さな店が、価格を安くする以外の方法で物を売るにはどうすればいいか?ということを毎日考えてきました。そして、自営業者の生き残り策として、大手にできないものは何かと考えた結果、惣菜に行き着いたのです。 惣菜は大量生産に向いていません。たとえば大手の場合、安全性に優先されますから野菜なども洗いすぎるほど洗ってしまい、野菜本来の味が抜けてしまいます。また、添加物も多くなり、手づくりのものに比べれば味の違いは明らかです。 それから、女性の就業率の上昇や高齢化、単身世帯の増加など、手軽に食べられる惣菜へのニーズが今後も高まるだろうという、時代の流れに対する読みもありました。 Q.経営者として、惣菜店の魅力は何ですか? 成田 在庫を抱える必要がなく、資金力がいらないという点と粗利益率が6割と高い点でしょうか。自分が客になった場合どう感じるか?というふうに考えられる身近なものであることも、自営業者にとっては重要なポイントだと思います。 Q.惣菜店は大手スーパーの隣でもやっていけるといわれますが、本当に大型店と共存できるのでしょうか? 成田 惣菜店は地域密着型です。お客様のニーズにきめ細かく対応していけば、息の長い商売ができます。いわゆる“デパチカ”と呼ばれるデパートの地下街とは違い、遠くからわざわざやってくる人でなはく、近くに住む家族全員が顧客です。 私の店は、惣菜やサラダバイキングのほかに焼きたてパンを提供するベーカリーや刺身コーナーなどもあり、「すぐに食べられるもの」をキーワードにした品揃えをしています。 いわば手づくりの惣菜を中心にしたコンビニエンスストアといった店づくりなので、同じ人でも1日に何回も来店していただけるんです。つまり、購入後、家に持ち帰ってすぐに消費される傾向が強い商品、「惣菜」が充実した店は、客の来店頻度がものすごく高いということなのです。 また、大抵の人は、誰が作ったかわからない惣菜が大量に並んでいる大手スーパーよりも、その店でひと手間かけたものを味わいたいと思うはずです。丸くむかれた里芋はいかにも機械にかけられた感じで味気ないでしょう。やはり、包丁の跡が残っていた方が「芋の煮ころがし」という雰囲気があります。一人で食べることが多くなってきた分、人間的な温かみのようなものが求められているのです。 それに高齢者などは、大規模スーパーが苦手だといいますよね。品種が多いために欲しい物が見つけにくいとか、店内が広くて歩くのが大変だとか、高齢者に限らず、ちょっとした買い物だったらレジに並ばすに済む方がいいということもあります。だから、スーパーが大型化するほど、逆にこういった手づくり惣菜を中心にした個人店に対するニーズも高まってくると思います。 Q.成田さんの惣菜作りのポイントはどこですか? 成田 いま売っている商品を少しでもおいしくしようということが基本になっています。手づくりプリンを作ったり、ビーフシチューを煮込んだり、そして、それを店の中で目立つようにディスプレイするといったことです。商品は、ほとんど店内で調理した出来立てです。   ナリタヤの店内:コンビニのように食品の種類は豊富だが、並んでいるのは手づくりの惣菜         Q.新しいアイディアはどういったところから生まれてくるのですか? 成田 常においしいものを求めて食べるということが非常に大事です。自分の舌を鍛えないとおいしいものは作れません。毎日カップラーメンやファウストフードを食べていて、ヘルシーな惣菜を考え出すことはできないのです。食に対する好奇心も人一倍旺盛ですね。料理でも食材でも、おいしいものがあると聞けば忙しい仕事の合間を縫って出掛けたり、取り寄せたりしてかなり投資しています。 また、居酒屋のメニューは惣菜に近いということで、居酒屋へは頻繁にリサーチに出掛けています。メニューの中から新しい惣菜のヒントになるものを拾うこともありますし、ユニフォームやメニューの演出方法、季節感の出し方など参考にさせてもらいます。若い人たちがどんなメニューを注文しているか、人気があるかといったこともトレンドをつかむ上でも勉強になります。 Q.最近の惣菜の傾向はどういったことですか? 成田 (財)外食産業総合調査センターが20歳以上の首都圏居住者に行ったアンケート調査によると、買ってみたい中食(すぐに食べられる市販の弁当や惣菜)の7大キーワードは、①栄養のバランス、②一流シェフや有名店の味、③オープンキッチン、④日替り、⑤その場で調理、⑥店内で食事、⑦低カロリーということです。つまり、栄養のバランスを考えた健康志向のものや、オープンキッチンで安心感のあること。また、一流のブランド志向が昼食の世界にも表れているということでしょう。 実際に野菜をメーンにした惣菜に対するニーズが高くなってきています。最近のヒット作は「野菜だけの南蛮漬け」ですから、いままでのイメージにこだわらず、野菜だけでもおいしい、満足感のある惣菜を作ろうと考えています。 その一方で、多少高くついても無駄を出したくないといった考えの人が多くなってきています。たとえば、夏場はご飯を炊いて余るとすぐに悪くなってしまいますから、ご飯は炊かずに必要な分だけ買っている。だから、うちの店でも白いご飯は、1日中切らさないように並べています。しかもこまめに炊いて、なるべく炊きたてを提供するように気を配っています。 Q.成田さんの店はどんな特徴がありますか? 成田 立地的な特徴としては「おばあちゃんの原宿」として有名な巣鴨の商店街にあり、毎月4の付く日が縁日でにぎわいます。4の日には18坪の当店に1,500人も入ることもあります。いろんな販促企画も充実していて、夏場には1,000円以上を超える買い物をされたお客様に、ビールの小型缶をサービスしたら800人が集まったこともありました。 Q.惣菜コンサルタントとして月に20日間も飛び歩いているということですが、どんなシステムになっているのですか? 成田 新規出店する場合は、最初から面倒をみさせていただきますが、FC加盟契約ではないので、独自の経営で店名も自由。紹介するメーカー・業者はあくまでも参考程度。メニューについてはカテゴリーごとに基本のアイテムがしっかり品揃えされていれば、オリジナルメニューの販売は歓迎です。どんどんオリジナリティーを出していただきたいということですね。 出店までの大まかな流れを説明しますと、まず契約前に当社にて面談、直営店を見ていただきます。おすすめの惣菜店のご紹介もいたします。契約後は立地選定のお手伝いから施工業者との打ち合わせ、タイムスケジュール作成。必要な予算の見積もりから収支予測などのシュミレーションまでやります。そして、求人、品揃えアイテム、販売方法などのアドバイスを経て直営店にて実習(3日~30日が目安)になります。開店日の前後7日間(実技指導含む)は現地での指導になります。 開店後の1年間は、実際に店を訪れて「季節に合わせた旬の素材を取り入れたメニューを増やそう」とか「とんかつは冷凍ではなく、肉に衣をつけてすぐに揚げる」とか「季節感を出すには店内のポップをどうしたらいいか」といったことを指導します。ホームページでも情報発信していますが、毎月の商品案内・販促などの情報を提供するほか、電話・ファックス・電子メールなどでも随時フォローします。 また、年間7回は会場を借りてセミナーを開き、調理からディスプレイの工夫などを実際に取り組みながら説明していきます。2時間ばかりの間に20種類もの惣菜を調理し、盛り付けなどを説明しながら試食してもらうと、皆さん手際の良さと味の良さに驚きますね。 これは具体的でわかりやすいということで、とても人気があります。まだ店をはじめるところまで気持ちが固まっていない人でも、セミナーなら気軽に参加できるでしょう。 これとは別に個別指導にも対応しています。実際に店をやっている人には、レシピなどの情報を提供する会員制度もあり、参考にしている店も多いです。 惣菜セミナー:ホワイトボードの裏で実際に調理をしている         Q.最近、惣菜店をはじめたいと相談に来る人にはどんな傾向がありますか? 成田 コンビニエンスストアをはじめとするチェーン店から独立して、自分で商売をやりたいという業種転換組が目立ちます。私の考える惣菜は、立地は繁華街でなく、むしろ住宅街に隣接したニ等地が適していて、5~30坪の規模が基準。資金は坪80万円程度です。 Q.これから惣菜店をはじめる人に、調理経験は必要ないんですか? 成田 スチームコンベクションオーブンという1台で蒸し物から煮物、焼き物、炒め物などがこなせる調理器があり、パソコンのように調理設定を入力すれば、誰でも操作ができます。スチームコンベクションオーブンは、もともとソーセージを蒸す機械を改良したもので、温度設定が簡単にでき、それぞれの機器をそろえるより省スペースになるのが利点です。狭い厨房でも短時間で多種類の惣菜を作れますし、安全で衛生的、油も少量でできますからヘルシーなのです。こういう便利な機械を取り入れて、なおかつ手づくり感のある惣菜を提供するというシステムづくりに、4年近くかかりました。 予算の問題でスチームコンベクションオーブンを使わずにガスコンロで作りたいという場合も、多少は火加減が難しくなりますが、ノウハウはありますから大丈夫です。 成功するかどうかはオーナーの調理経験などではなく「自分がやるんだ」というやる気にかかっています。技術的なものは、後からいくらでもついてきます。 スチームコンベクションオーブンは、個人開業者におすすめの調理器     Q.今年になってインターネット上でホームページを立ち上げましたが、その反響はいかがですか? 成田 予想以上の反響でした。4ヶ月でアクセス数が4万回を超えています。惣菜に対する関心の高さを改めて意識しました。ネット上では6対4の割合で女性が多いのですが、惣菜に対する情報を求めているんですね。“そうざい”という呼び方一つとっても「惣菜」「総菜」「デリカテッセン」とあるわけで、その違いはなにか?といった質問などが寄せられてきます。食品添加物に対する質問などもあります。 いままでは、自分の店に来るお客様とのコミュニケーションがほぼ100%でした。そこにホームページによる新しい付き合いがはじまり、遠くに住んでいる人との一対一の意見交換も可能になりました。今後もホームページを使った交流を盛んにしていきたいですね。お惣菜店運営のノウハウを提供しています!